要り用と入り用は、どちらも「必要である」という意味の言葉です。
しかし、要り用は「目的や用途が決まっている必要」を表し、入り用は「目的や用途が決まっていない必要」を表す言葉となります。
使い方の例
要り用の例
- 新しく家を建てるので、木材や釘などの建築資材が必要
- 新しいパソコンを買うので、電源やモニターなどの周辺機器が必要
「新しいパソコンを購入するので、マウスやキーボードなどの周辺機器もご入用ですか?」
入り用の例
- 急な出費があったため、お金が必要
- 食料品や日用品などの買い物が必要
「急な出費があったため、ご入用になりましたら、ご連絡ください。」
「ご入り用」とは書くが「ご要り用」はNG
ご入用は、「入用」に接頭語の「ご」をつけて丁寧な言い回しにしたものです。
ご要り用は、「要る」に接頭語の「ご」をつけて丁寧な言い回しにしたものですが、「要る」にも「必要」という意味があるため、「ご入用」と同じ意味になります。
そのため、「ご要り用」は、「ご入用」の間違いとみなされます。
なお、「ご入用」は、「ご入り用」と書くこともありますが、これは表記上の違いであり、意味や使い方に違いはありません。
したがって、ビジネスシーンでは、「ご入用」を正しい表記として覚えておくようにしましょう。
目下の人には使用しない
入用は、相手に敬意を表す言葉として使われることが多く、目上の人や取引先など、自分より上位の相手に対して使うのが一般的です。
そのため、目下の人に対して「入用」を使うと、上から目線で命令するような印象を与えてしまう可能性があります。
目下の人に対しては、「必要」「欲しい」「ほしい」などの言葉を使うのが一般的です。
例えば、
目上の人:
-
- 「ご入用ですか?」
- 「ご入用であれば、お申し付けください」
- 「ご入用には、何でもご用意いたします」
目下の人:
-
- 「必要ですか?」
- 「欲しいですか?」
- 「ほしいですか?」
このように、相手との関係性に合わせて、適切な言葉を使うようにしましょう。
入用の反対語は不用不要無用どれ?
入用の反対語は、不用、不要、無用のいずれも該当し、すべて「必要ではない」という意味ですが、ニュアンスには違いがあります。
- 不用:今は必要ではないが、将来必要になる可能性もあることを示唆しています。
- 不要:必要ではないことを明確に示しています。
- 無用:何の役にも立たないことを強調しています。
ビジネスシーンでは、不用や不要を使うことが多く、無用は、やや強い表現なので、注意が必要です。
「入り用」「入用」は自分自身にも使える?
入り用、入用は自分自身にも使うことができますが、自分自身に対して使う場合は、主に「お金」に関する必要を指します。
例えば、
- 「最近、何かと入り用で」
- 「今月は入り用が多いので、節約しないと」
- 「急な出費があったため、入用になりました」
- 「入用があれば、いつでも相談してください」
のように使われます。
ただし、「入り用」は、謙譲語の「ご入り用」に比べて、カジュアルな印象を与える言葉です。ビジネスシーンでは、「ご入り用」を使うことが多いですが、日常会話やメール文などでは、「入り用」を使うこともできます。
「ご入用」と「ご利用」「ご用命」の意味の違い
ご入用、ご利用、ご用命、いずれも「必要」や「役に立つ」という意味の言葉ですが、意味合いやニュアンスに違いがあります。
「ご入用」の意味
「ご入用」は、「ある用事に必要なもの・こと」や「大切なこと」「費用」を意味する「入用」に、接頭語の「ご」をつけて丁寧な言い回しにしたものです。
具体的には、
- 目上の人や取引先など、自分より上位の相手に対して、必要なものや費用の有無を尋ねるときに使う
- 必要なものや費用を提供する際に使う
- 何かの目的や用事のために必要なものや費用を強調するときに使う
などの場面で使われます。
例えば、
- 「ご入用ですか?」
- 「ご入用であれば、お申し付けください」
- 「ご入用には、何でもご用意いたします」
のように使われます。
「ご利用」の意味
「ご利用」は、「役立つようにうまく使う」という意味がある言葉です。
具体的には、
- 何かを利用する際に、相手の許可や承諾を得るときに使う
- 何かを利用する際に、感謝の気持ちを表すときに使う
- 何かを利用する際に、相手の好意や配慮に感謝の気持ちを表すときに使う
などの場面で使われます。
例えば、
- 「ご利用ありがとうございます」
- 「この機会をご利用ください」
- 「ご利用のほど、よろしくお願いいたします」
のように使われます。
「ご用名」の意味
「ご用命」は、「なにか用がありましたらお申しつけください」という意味あいの言葉のため、必要に応じて相手に伺いをたてる際に用いられます。
具体的には、
- 何かのサービスを提供する際に、相手の要望や希望を尋ねるときに使う
- 何かのサービスを提供する際に、相手の都合を伺うときに使う
- 何かのサービスを提供する際に、相手の好意や配慮に感謝の気持ちを表すときに使う
などの場面で使われます。
例えば、
- 「何かご用命がございましたら、お申し付けくださいませ」
- 「ご用命がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください」
- 「ご用命のお役に立てば幸いです」
のように使われます。
「ご入用」は「ご用命」と間違えやすい
ご入用とご用命は、どちらも「必要」や「役に立つ」という意味の言葉であり、音も似ていることから、間違えやすい言葉です。
「ご用命」は、「なにか用がありましたらお申しつけください」という意味あいの言葉のため、必要に応じて相手に伺いをたてる際に用いられます。
ご入用を使うときは、
-
- 目上の人や取引先など、自分より上位の相手に対して、必要なものや費用の有無を尋ねる
- 必要なものや費用を提供する際
- 何かの目的や用事のために必要なものや費用を強調するとき
ご用命を使うときは、何かのサービスを提供する際に
-
- 相手の要望や希望を尋ねるとき
- 相手の都合を伺うとき
- 相手の好意や配慮に感謝の気持ちを表すとき
このように、意味や使い方が異なる言葉ですが、音が似ていることから、間違えやすいのです。
「ご入用」と「物入り」は違う
「ご入用」は、目上の人や取引先など、自分より上位の相手に対して、必要なものや費用の有無を尋ねたり、提供するときに使う丁寧な表現です。
一方、「物入り」は、費用がかかることを漠然と表現したり、予測したりするときに使う表現となります。
ビジネスシーンでは、「ご入用」は、相手に敬意を払い、丁寧な印象を与える表現として使われることが多いですが、「物入り」は、具体的な費用や出費を説明するときに使う表現として使われることが多いです。